2008年05月13日(火)
せっかく購入したマイホームに欠陥が見つかったのに、販売業者はすでに倒産していた――。こうした場合も泣き寝入りせずに補修費を受け取れる法律が、2009年10月に本格施行される。住宅の売り手業者に保険への加入などを義務づけるもので、国土交通省は12日、業者が保険金を納める「保険法人」を指定した。(香取直武)
この法律は「住宅瑕疵(かし)担保履行法」といわれ、新築の戸建てやマンションの販売業者は、保険に加入するか、法務局に一定の保証金を積み立てる「供託」を義務づけられる。
売り主に保証金を積ませることで、仮に欠陥が見つかった場合、業者が倒産していても、購入者には補修費が支払われる。
マンションの耐震強度偽装事件では、欠陥発覚後に売り主が破たんしたため、購入者は建て替え分を含む二重ローンに苦しむことになった。法律は事件を教訓に07年5月に成立した。
売り主の業者は、マンションや住宅を着工するたびに、国交省が指定した「保険法人」に保険料を納めるか、一定期間ごとに法務局に供託しなければならない。
保険料は、建設費1600万円の戸建てで8万円程度、20戸が入居する建設費4億円のマンションでは、1棟80万円程度になる見込みだ。いずれ保証金が戻る供託制度も選べるが、保険より割高になるため、中小事業者のほとんどが保険を選ぶと見られる。
こうしたコストを販売価格に上乗せするかどうかは、業者側の判断になる。
補修費が支払われる期間は、引き渡しから10年以内の物件が対象になる。
柱や壁、床、基礎など主要部分の強度不足や、図面通りに工事されていないなどの欠陥が発覚すれば、購入者は売り手の業者や、その業者が倒産していた場合は保険法人に補修費を請求できる。
工事期間中に保険法人は2度にわたって現場に出向き、設計通りに進んでいるかを検査する。
ただ、保険による保証額は補修費の全額ではなく、最高2000万円までとなる見通しで、その点には注意が必要だ。
物件の引き渡し時期もポイントになる。09年10月1日の本格施行前に売買を契約した場合でも、引き渡しが施行後であれば、この法律の対象に含まれる。
その際、着工後に業者が保険に入っていないことが判明すれば、保険法人から工事のやり直しを求められる恐れがある。制度を十分に理解していない業者と契約すると、引き渡しが大幅に遅れる可能性もあり、契約時に手続きを行ったかどうか確認する必要がある。
完成までの期間を逆算すると、戸建ては来年春以降、マンションは今年秋以降に着工する物件が義務づけの対象になる見通しだ。
国交省は12日、欠陥住宅保険では大手の「財団法人住宅保証機構」、住友林業などが出資する「住宅あんしん保証」の2法人を保険法人に指定した。最終的に6社程度を指定する見通しだ。各保険法人は、損害保険会社などに再保険するとみられる。
制度の導入で、保険料だけで年間400億~500億円の市場が生まれるとみられている。
一方で、売り手業者にとっては、価格競争が激しい中で、保険料の負担を販売価格に上乗せしづらいとの見方も強く、中小業者などの経営が苦しくなる影響も指摘されている。